定吉七は丁稚の番号

2020年8月13日

矢作俊彦の文章を捜していた頃,東郷隆の本に遭遇した。『戦場はぼくらのおもちゃ箱』の帯を矢作が担当していた。佐山一郎が編集していた当時の「スタジオ・ボイス」にアフガニスタン帰りの軍事評論家として登場したのもその頃だ。

連載「コンクリート謝肉祭」に登場する「軍事評論家」は東郷隆で,たぶん歴史小説を書く前に刊行されたのが,この小説に続く“定吉七番”シリーズだ。

第1作目となる本書が何度も捲り返されたのは,解説を矢作俊彦が書いているからだった。

矢作俊彦は文庫の解説を書かせると,すべてをもっていってしまうくらいうまい。安部譲二『殴り殴られ』,高橋源一郎『虹の彼方に』,石丸元章『アフタースピード』とどれも面白い。特に『定吉七は丁稚の番号』の解説は抱腹絶倒もので,ただ,今日のモラルに照らすと,そのたのしみをつまびらかにする術はなかなかない。矢作俊彦が描いてきた,そして今も描き続けている「フラットな対人関係」を理解していなければ,妙な誤解を生んでしまうかもしれない。

本書が書かれた当時,矢作俊彦が連載してた「眠れる森のスパイ」に登場する「R計画」は,もともと東郷隆と映画のシナリオとして準備していた(らしい)「ザ(ジ?)・イタマエ」の設定のひとつだったことを,少し後,矢作俊彦がホストをしていたラジオ番組に東郷隆がゲスト出演した際,明らかにした。

タイトル定吉七番は丁稚の番号
発行年1985年
定価500円
状態

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